Duolingo、無料なのにどうやって儲けてるの?
Duolingoを使ったことがある人なら、一度くらい思ったことがあるんじゃないだろうか。
- 「これ、無料で使い続けられるけど大丈夫なの?」
英語をはじめとした語学学習ができる。
アプリを入れる。
会員登録する。
そして、かなりの範囲を無料で使える。
もちろん広告は出てくるし、「Super Duolingo」や「Duolingo Max」といった有料プランもある。
でも、無料ユーザーでも普通に学習できる。
ここが不思議だ。
普通のサービスなら、
- 「無料版ではここまで。有料版を買ってね」
と、かなり露骨に壁を作りたくなる。
ところがDuolingoは、学習コンテンツそのものをペイウォールの向こう側に置いていない。
2025年12月末時点で、Duolingoの月間アクティブユーザーは1億3,000万人超。
その一方で、有料購読者は約1,220万人だった。
つまり、大多数のユーザーは無料のまま使っている。
それなのに、Duolingoは巨大な教育サービスになっている。
しかも2025年の広告売上は全売上の約7.7%。
- 「ああ、無料ユーザーに広告を見せて儲けているのね」
……と思ったら、それだけでもない。
むしろDuolingoの収益の中心はサブスクリプションだ。
じゃあ、なぜ無料で大量の人を集めるのか?
そして、そもそもなぜそんなに人がDuolingoを使うのか?
今回はそこを調べてみた。

Duolingoは本当に無料なのか?
まず、ここを確認しておこう。
Duolingoは「無料でも使える」のではない。
かなり正確に言えば、
「学習コンテンツを無料で使えるようにした上で、一部のユーザーに有料サービスを販売する」というフリーミアムモデルだ。
Duolingo自身も、学習コンテンツをペイウォールの後ろに置かないことを事業モデルの中心として説明している。
無料ユーザーは広告を見る。
有料ユーザーは広告なしの利用や追加機能を使える。
2025年末時点では、月間アクティブユーザーの約9%が有料購読者だった。
つまり、ざっくり言えば、
- 無料ユーザー:約91%
- 有料ユーザー:約9%
という世界だ。
これ、結構すごい。
100人いたら91人くらいはお金を払っていない。
それでも事業が成立している。
Duolingoは実際どれくらい儲かっている?
では、肝心の売上を見てみよう。
2025年のDuolingoは、売上高が約10億ドル規模に達している。
そして2025年末時点で有料購読者は約1,220万人。
2024年末の約950万人から約28%増えている。
さらに2026年6月末時点では、有料購読者は約1,270万人まで増えている。前年同期比では17%増だ。
つまり、
「無料アプリを配っている小さな教育サービス」
というイメージとはかなり違う。
かなり大きなサブスクリプション事業になっている。
Duolingoの収益源は何なのか
Duolingoの収益源を大きく分けると、主に次のようになる。
- サブスクリプション
- 広告
- アプリ内課金
- Duolingo English Test
この中で特に大きいのがサブスクリプションだ。
有料版には「Super Duolingo」と「Duolingo Max」があり、広告なしや追加機能、AIを使った機能などを提供している。
一方、無料ユーザーからは広告収入も得ている。
2025年の広告収入は全売上の約7.7%だった。
つまり、
「無料ユーザーに広告を大量に見せて稼ぐサービス」ではない。広告も収益源の一つではある。
でも、ビジネスの中心は無料ユーザーの一部を有料購読者に変えていくことだ。
ここが最初のポイント。
でも、なぜ1億人以上も使っている?
ここからが本題だ。
有料会員を増やしたいなら、まず無料ユーザーが大量にいなければならない。
1億人の9%と、100万人の9%では全然違う。
だからDuolingoにとって、
無料ユーザーは「お金を払っていない人」ではあるが、「価値がない人」ではない。むしろ大量の無料ユーザーがいること自体が、ビジネスモデルの重要な部分になっている。
Duolingoは2025年の資料で、無料ユーザーには大きく二つの価値があると説明している。
一つ目は口コミ。
ユーザーがDuolingoを人に勧める。
二つ目はデータ。
ユーザーが大量の問題を解くことで、プロダクト改善に利用できるデータが蓄積される。
Duolingoによれば、ユーザーは1日あたり約20億回のエクササイズをこなしている。これがA/Bテストや学習体験の改善に使われている。
つまり、
無料ユーザー
↓
たくさん使う
↓
口コミが増える
↓
ユーザーが増える
↓
大量の利用データが集まる
↓
プロダクトを改善する
↓
さらに使われる
という循環ができる。
これはなかなかエグい。
無料で使っている人も、サービス全体を成長させる役割を持っている。
Duolingoはなぜ英語学習アプリとして人気になったのか
ここで別の疑問が出てくる。
- 「いやいや、そもそもなんでそんなに使われるの?」
語学学習アプリなんて他にもある。
無料の英語教材だって、YouTubeにもWebサイトにも大量にある。
それなのにDuolingoには大量のユーザーが集まっている。
Duolingo自身は、学習を「楽しいもの」にすることをかなり重視している。
2025年の年次報告書では、Duolingoを「教育製品というよりモバイルゲームのように感じる」と説明している。
短時間のレッスン。
経験値。
連続記録。
ランキング。
通知。
こうしたゲーム的な要素を組み合わせて、毎日戻ってくる理由を作っている。

「ゲームみたいに学ぶ」は本当に強かったのか
語学学習で一番難しいことは、
「勉強を始めること」
だけではない。
「毎日続けること」だったりする。
参考書を買った。
英単語帳を買った。
YouTubeで英語動画を見始めた。
……そして3日後。
本棚の飾りになる。
この問題に対してDuolingoが取ったアプローチはかなり分かりやすい。
「勉強しなさい」
ではなく、
「あと5分だけやろうぜ」
に近づける。
Duolingoによれば、2025年末には約4,300万人のDAUが7日以上の継続できていて、そのうち約1,500万人は365日以上の継続していた。
もちろん、長く継続するだけで「学習効果が高い」とは言えない。
ただ、少なくとも、
「また明日もアプリを開く」という行動を大量に作れている。
ビジネスとして見ると、これは非常に重要だ。
Duolingoはどうやって毎日使わせている?
Duolingoは、ゲーム的な仕組みだけに頼っているわけではない。
ユーザーの進捗を表示する。
連続記録を表示する。
通知を送る。
レッスンを短くする。
ランキングなどで他のユーザーとの競争要素を作る。
さらに、ユーザーごとの行動を見ながら大量のA/Bテストを実施している。
Duolingoは年間を通じて大量の実験を行い、機能を改善していると説明している。
つまり、
- 「このボタンの色を変えたら使う人が増えるかな?」
みたいな小さな変更まで、データを見ながら試していく。
ここまでやると、もはや単なる「英語教材」ではない。
「人間に毎日使ってもらうためのプロダクト」として作られている。
無料ユーザーが大量にいることに何の意味がある?
ここで、無料ユーザーの話に戻ろう。
無料ユーザーは、
「お金を払っていないユーザー」
だけではない。
Duolingoの説明を見ると、少なくとも次のような価値を持っている。
1. 将来の有料ユーザー
最初は無料。
数か月後に有料化する人もいる。
Duolingoは、何か月、場合によっては何年も無料で使った後に購読を始めるユーザーがいると説明している。
つまり無料ユーザーは、
「まだお金を払っていない見込み顧客」でもある。
2. 口コミを生むユーザー
友人に、
「Duolingoやってる」
と言う。
SNSにスクリーンショットを投稿する。
キャラクターのDuoが話題になる。
こうした口コミは広告費をかけずに新規ユーザーを連れてくる。
Duolingo自身も、ユーザーによる口コミを成長要因の一つとして説明している。
3. プロダクト改善に貢献するユーザー
大量のユーザーが大量の問題を解く。
その結果、膨大な利用データが生まれる。
それを使ってプロダクトを改善する。
改善されれば、さらに使われる。
つまり無料ユーザーが増えること自体が、サービスの改善能力を高める。
無料ユーザーの一部が有料になる仕組み
では、最終的にどうやって課金するのか。
基本的には、
無料で使う
↓
Duolingoを習慣にする
↓
もっと便利に使いたくなる
↓
有料機能を知る
↓
一部のユーザーが課金する
という流れになる。
有料版では広告がなくなったり、追加機能が使えたりする。
Duolingo MaxではAIを使った機能なども提供されている。
ここで重要なのは、
無料版を「使い物にならないお試し版」にしていないこと。無料でもちゃんと学習できる。
だからユーザーが増える。
その中から「もっと便利にしたい」という人が課金する。
この構造なら、無料ユーザーが大量にいてもおかしくない。
むしろ無料ユーザーが大量にいることが前提になる。
なぜDuolingoは収益化をあえて弱めることがあるのか
ここが今回一番面白かったところだ。
普通、企業なら、
「無料ユーザーがいる」
↓
「じゃあ広告を増やそう」
「課金誘導を増やそう」
となりそうだ。
ところがDuolingoは2026年、むしろ逆方向の判断をしている。
2025年末の決算説明資料で、Duolingoは無料ユーザーへの広告表示やサブスクリプションへの誘導など、いわゆる「摩擦」を増やして収益化する施策がDAU成長を鈍らせた可能性があると説明した。
そして、2026年にはユーザー成長を優先するため、そうした摩擦を減らすことを決定。
その結果、5,000万ドル超の取り逃し売上をユーザー体験への投資として受け入れると説明している。
これ、かなり面白い。
普通なら、
「無料ユーザーからもっと取ろう」
となるところを、
「いや、取りすぎると人が離れる。まず人を増やそう」
と考えている。
つまりDuolingoにとって、
短期的な1人あたり売上より、長期的なユーザー数の増加を優先する場面がある。これは、無料サービスを単なる「お試し版」と考えている会社とはかなり違う。
Duolingoは「無料の英語アプリ」ではなかった?
ここまで見ると、最初の疑問への答えが見えてくる。
Duolingoが無料なのは、
「広告だけで儲けられるから」
ではない。
「慈善事業だから」
でもない。
むしろ、
無料にすることでユーザーを大量に集め、そのユーザー数自体を事業の成長エンジンにしている。無料ユーザーが、
- 将来の有料ユーザーになる
- 口コミで新規ユーザーを連れてくる
- 大量の学習データを生み出す
- A/Bテストの母数になる
- サービスの改善に貢献する
そしてサービスが良くなれば、さらにユーザーが増える。
その中から一部が有料になる。
かなり綺麗な循環だ。

まとめ:Duolingoが無料でいられる理由
最初の疑問は、
「Duolingoって無料なのに、どうやって儲けてるの?」
だった。
調べてみると、答えは意外とシンプルだった。
無料ユーザーが大量にいるからこそ、儲かる仕組みを作れる。Duolingoは2025年末時点で1億3,000万人超のMAUを抱え、そのうち約1,220万人が有料購読者だった。広告収入もあるが、2025年の広告売上は全体の約7.7%にとどまる。
つまり、
「無料ユーザーに広告を見せまくる」
という単純なビジネスではない。
むしろ、
無料で大量に集める
↓
楽しく使わせる
↓
毎日使う習慣を作る
↓
口コミが生まれる
↓
さらにユーザーが増える
↓
利用データが集まる
↓
プロダクトを改善する
↓
一部のユーザーが有料化する
↓
その収益をまたプロダクトに投資する
という循環が重要だった。
そして面白いのは、Duolingo自身が2026年に、短期的な収益化より無料ユーザーの成長を優先する方針を打ち出していることだ。
だから、
「Duolingoは無料なのに儲かる」
というより、
「Duolingoは無料だからこそ、巨大なユーザー基盤を作り、その一部を収益化できる」
と考えた方が近いのかもしれない。
そして、ここまで見ると、Duolingoが英語学習アプリとして人気になった理由も少し見えてくる。
ただ英語を勉強できるだけなら、無料の教材は世の中にいくらでもある。
Duolingoがやっているのは、
「英語を勉強するサービス」だけではなく、「英語を勉強するために毎日戻ってきたくなるサービス」を作ること。無料であること。
ゲームっぽいこと。
短時間で終わること。
続けたくなる仕組みがあること。
そして、その大量の利用をデータで改善し続けること。
これらが組み合わさって、現在の巨大なサービスになっている。
……こう考えると、あの緑色のフクロウ、ただの鳥じゃない。
かなり計算されたビジネスモデルの上を飛んでいる。
参考資料
- Duolingo, Inc. 2025 Form 10-K / SEC
- Duolingo, Inc. Q4 / FY 2025 Shareholder Letter
- Duolingo, Inc. Q2 2026 Form 10-Q / SEC
- Duolingo Company Strategy Overview
